まじなひの研究 考古資料と古記録・呪法書
水野正好著 18,000円(税別)
望みの成就を願い、苦しみの祓除をかなえる「まじなひ」には、目には見えない人間の心根がはたらいている。本書は、古代・中世・近世の考古資料の読み解きに、古記録類や呪法書の史料情報を組み合わせて、多様な呪的世界を蘇らせる稀代の歴史書である。資料がないから「わからない」ではなく、「あなたならどうする」と筆者は読者に語りかける。
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第1部 古代のまじなひ
平城京のまじなひ/道教とまじなひ―東アジア・日本における交流―/難波長柄豊碕宮前後の呪的環境/渡来した人々の生活と文化―滋賀郡居住の漢人系氏族をめぐって―/福 徳―その心の考古学―
第2部 葬と剣の呪儀
馬・馬・馬―その語りの考古学―/竈 形―日本古代竈神の周辺―/葬とまじなひ/金銀象嵌装飾刀剣「三寅剣」/坂上田村麿将軍劒とその流転/中世 その葬と祭と
第3部 産育と小児の呪儀
借地文の世界に―中国産育慣行の受容をめぐって―/産育呪儀三題(一)/産育呪儀三題(二)/犬字奉書の呪的環境/驚風虫鎮呪儀の世界/小児の夜啼きとその呪法
第4部 地鎮めと井鎮めと
屋敷と家屋の安寧に―そのまじなひ世界―/「土」と地鎮と/屋敷地取作法と地鎮の考古学―高野山宝性院跡発見の遺構をめぐって―/近世の地鎮・鎮壇/鎮井祭の周辺/竹筒をのこした一井とその秘呪/金貴大徳の呪句と埋井の呪儀/三宝荒神符と天中の呪句
第5部 呪符・呪作・呪法
八万四千六百五十四神王呪符の語り/七鬼神の信仰とその呪符/五大力菩薩の呪句とその世界/呪の文学誌―呪句・呪文・呪歌への照射―/名とまじなひ―その瞥見録―/弓矢射放つ呪作―その瞥見録―/釘・針うつ呪作―その瞥見録― 水野正好「まじなひの考古学事始め」のはじまり…藤澤典彦(元興寺文化財研究所評議員) 解 題……………………………………………………狭川真一(大阪大谷大学教授) | ||